「住宅営業やめとけ」
その検索ワード、かつての私も何度打ち込んだかわかりません。
私は、新卒で配属された住宅関連部門で、営業・現場管理・事務を7年間経験してきました。営業デビュー当初は「契約=評価」の空気に飲まれ、ノルマに追われて胃痛の日々。離職率は高く、気がつけば同期の大半が辞めていました。
でも、そこでやめなかったのは「私には向いていない」と断言できなかったからです。向いている人の共通点、そして私自身が乗り越えた方法。それらを誰かに伝えることが、今の自分の役割だと思っています。
この記事では、住宅営業がやばいと言われる理由や、営業マンの本音を正直にお伝えします。離職率はどのくらい?離職率がどのくらいだとホワイト企業?ノルマは毎月何棟ありますか?月収・年収はどのくらい?といった疑問にも、経験に基づいてお答えします。
「女性は売れないですか?」という質問も、かつて同僚の奮闘を間近で見てきた私だからこそ、現場のリアルを語れます。
住宅営業という仕事が本当に「やめとけ」なのか、それとも「やりがい」に変わる可能性があるのか。この記事が、その判断材料になることを願っています。
- 住宅営業がやばいと言われる具体的な理由
- ノルマや収入、離職率などの実態と平均値
- 向いている人や続けられる人の特徴
- 辞める前に試せる工夫やキャリアの選択肢
「住宅営業はやめとけ」と言われるのはなぜか
- やばいと言われる理由はこれ
- ノルマは毎月何棟ありますか?の実情
- 月収・年収はどのくらい?リアルな数字
- 離職率はどのくらい?現場の実感
- 営業マンの本音をあえて語る
やばいと言われる理由はこれ
住宅営業が「やばい」と言われる最大の理由は、精神的・肉体的な負荷が極端に大きいからです。特に新卒や未経験者の場合は、想像と現実のギャップに苦しむことが少なくありません。
まず、住宅営業の現場では「契約がすべて」とされる風潮が根強くあります。数字が出ないと、上司からの叱責や圧力が強まる会社もあり、プレッシャーに押しつぶされる人もいます。モデルハウスで来場者を待つだけでなく、電話営業・訪問営業・イベント動員など、外向けのアクションも多く、成果が出るまでは孤独で根気のいる時間が続きます。
また、土日が繁忙日であるため、友人や家族と予定を合わせづらく、生活リズムも不規則になりがちです。私自身も、新卒時代は「平日が休み」というだけで孤独感を覚え、何度も辞めようか悩みました。
このように、営業成績・働き方・社内の人間関係など、あらゆる側面で「やばさ」を感じる要素が積み重なるため、SNSや口コミサイトでもネガティブな声が目立ってしまうのです。
ノルマは毎月何棟ありますか?の実情
住宅営業のノルマは「毎月1棟」が一般的な目安ですが、これはあくまで“目安”であり、会社や商品単価、地域によって大きく異なります。特に注文住宅を扱うハウスメーカーでは、1棟の契約までに時間がかかるため、年間で6~10棟ほどを目標にしているケースもあります。
とはいえ、新人のうちは「まず1棟」が非常に高いハードルです。展示場に立つだけでは契約にはつながらず、集客・提案・資金計画・設計相談と、すべてのプロセスを一人でこなす必要があります。しかもその途中で、お客様に「やっぱり他社にします」と言われてしまえば、数ヶ月の努力がゼロになることもあります。
私が初めて契約を取ったのは入社して半年経ってからでした。それまでの期間は、先輩の下について動き、チラシ配りや名簿入力、掃除といった裏方の仕事ばかり。ようやく商談に参加できても、緊張でうまく話せず、自分には向いていないかもしれないと感じることもありました。
このように、住宅営業のノルマは「数字」以上に、達成までのプロセスの長さと密度が大変なのです。そして、成果がすぐに出ないからこそ、焦りや不安に繋がりやすい仕事でもあります。
月収・年収はどのくらい?リアルな数字
住宅営業の給与体系は「基本給+インセンティブ(歩合)」が一般的です。つまり、契約数によって収入が大きく変動します。そのため、月収や年収には個人差が大きく、実態を把握しづらいという特徴があります。
例えば、私が在籍していたハウスメーカーでは、新卒の基本給は20万円台前半、ボーナスは年2回。ただし、インセンティブが入ると月収が40~50万円になることもありました。一方で、契約がまったく取れなければ、基本給しか支給されず、生活が不安定になります。
年収ベースで見ると、1年目で300~400万円台、2~3年目以降に契約を安定して取れるようになると、500~800万円に達する人もいます。トップ営業になると、年収1,000万円を超えるケースもありますが、それはごく一部です。
このように、住宅営業は「稼げる」と言われる反面、収入が安定するまでに時間がかかり、精神的負荷も大きい仕事です。住宅という高額商材を扱うため、1件の契約で大きな報酬が得られる一方、結果が出ないと生活に直結するストレスを抱えることにもなります。
言ってしまえば、住宅営業は「ハイリスク・ハイリターン型」の職種。安定志向の方にとっては厳しい環境かもしれませんが、自分の力で稼ぎたい人にとっては挑戦のしがいがある世界です。
離職率はどのくらい?現場の実感
住宅営業の離職率は、一般的に高い傾向があります。実際、私の職場でも1年以内に辞めていく人は少なくありませんでした。厚生労働省の統計によれば、不動産業の離職率は年間10〜14%程度とされていますが、若手の営業職に限ると、それ以上の体感があります。
なぜこれほど辞める人が多いのか。それは、住宅営業の仕事が「華やかそうに見えて、地道で泥臭い」からです。お客様に夢を届ける仕事である一方で、日々の業務は電話営業・飛び込み訪問・資料作成・社内調整・現場立ち会いなど多岐にわたり、単調で成果が見えにくい時期が続きます。
私は、新卒で入社した年の夏、同期の半分が辞めていくのを目の当たりにしました。営業成績に悩んだり、職場の人間関係に疲れたりと、理由はさまざまでしたが、共通していたのは「思っていたよりもしんどかった」という言葉です。
一方で、数年後も残っている人には共通点がありました。それは「目標の立て方が具体的」「相談できる相手がいる」「顧客との関係性を楽しめる」という3つの特徴です。
このように考えると、離職率が高いからといってすべてがブラック企業とは限りません。大切なのは、その環境に合うかどうかを早めに見極め、必要であれば異動や転職も含めた選択肢を持っておくことです。
営業マンの本音をあえて語る
住宅営業の仕事について、表向きには「やりがいがある」「お客様の夢を叶える仕事」と語られることが多いですが、実際に現場で働く営業マンの本音はもっと複雑です。ここでは、あえてリアルな声を紹介します。
まず正直に言うと、「毎月売らないと給料が減る」「土日に休めない」「クレーム対応がしんどい」といった声は、ほぼ全員が一度は口にします。営業成績に対するプレッシャーは重く、数字が出ない時期が続くと、自分の存在価値さえ疑ってしまうほどです。
かつての私は、月末に契約が取れず、展示場の空気にいたたまれなさを感じたことがあります。焦って強引な営業をしてしまい、結果として信頼を失ったこともありました。そんな時期を経験した営業マンは、決して少なくありません。
一方で、「だからこそ1棟決まったときの喜びは大きい」「家づくりを通してお客様と家族のような関係になれる」といった前向きな声もあります。とくに、引き渡し時に「あなたにお願いしてよかった」と言われる瞬間は、営業をやっていて本当によかったと感じる場面です。
このように、住宅営業の現場にはしんどさと誇りが共存しています。本音では「辞めたい」と思う日もありますが、それでも続けられる理由がある──そんな思いを抱えながら、多くの営業マンが現場に立ち続けています。
それでも「住宅営業はやめとけ」とは限らない理由
- 向いている人は?続く人の共通点
- 女性は売れないですか?の誤解
- 離職率がどのくらいだとホワイト企業?
- 実体験から学んだ“乗り越える工夫”
- 現場で身につくスキルと成長実感
- 新人でも育つ環境は本当にあるのか
- 辞める前に「変える」選択肢を
向いている人は?続く人の共通点
住宅営業に「向いている人」とは、どんな人なのでしょうか。これは単に営業が得意な人、話が上手な人という意味ではありません。実際に長く続いている人には、いくつかの共通した特徴があります。
まず、プレッシャーや失敗に対して柔軟に対応できる人です。住宅営業では、契約が取れない日々が続くことも珍しくなく、その間にも来場者対応や提案書作成など、やるべき業務は山積みです。そうした状況でも「どうすれば良くなるか」を考え続けられる人は、確実に成長します。
また、観察力と傾聴力がある人も向いています。お客様の本音は、必ずしも言葉にされるとは限りません。「迷っている理由」「本当に望んでいる生活」などをくみ取れる力があると、自然と信頼関係が築けて、提案の質も上がります。
私が見てきた中で、成績が安定している人は“派手さ”より“丁寧さ”を大切にしていました。表情や言葉の端々からお客様の不安を拾い、小さなことにも気を配れるタイプです。
もちろん、性格や特性に完璧な「正解」はありません。ただし、住宅営業は短期決戦ではなく、コツコツと信頼を積み重ねるマラソン型の仕事です。その意味で、「誠実に向き合う姿勢」が何よりの適性だと感じています。
女性は売れないですか?の誤解
「住宅営業は女性には向いていない」「売れない」といった声を耳にすることがありますが、それは偏見に過ぎません。確かに、業界全体で見ると男性営業の割合が高く、体力的な負荷や土日出勤のライフスタイルが壁になるケースもあります。しかし、売れている女性営業もたくさん存在します。
私の職場にも、出産を経て時短勤務で成果を出している女性営業がいました。彼女の強みは、聞き上手で、共感力が高く、お客様が相談しやすい雰囲気を持っていたことです。家づくりに不安を抱えるご夫婦にとって、無理に売り込む営業よりも「話を聞いてくれる人」の存在は大きな安心材料になります。
一方で、社内の評価制度や残業・休日対応など、働きづらさを感じる場面があるのも事実です。特に育児中や家庭との両立を目指す場合、土日出勤や急な顧客対応が大きな壁になります。職場によっては、制度が整っていなかったり、理解が得られにくかったりすることもあるでしょう。
だからこそ、女性が住宅営業として長く働くには、「サポート体制の整った職場選び」と「自分なりの営業スタイルの確立」が重要です。売り方や進め方は一つではありません。むしろ、自分らしいスタイルで信頼を得ていく柔軟さが強みになるのが、住宅営業という仕事です。
離職率がどのくらいだとホワイト企業?
住宅営業の世界では、離職率が高いのが一般的だとされていますが、だからこそ「離職率の目安」を知ることが職場選びの判断基準になります。では、どの程度の離職率であればホワイト企業と呼べるのでしょうか。
一般的に、年間の離職率が10%以下であれば、比較的安定して働ける会社と見なされます。特に住宅業界は営業成績に対するプレッシャーが強く、体力・精神力が求められるため、15〜20%の離職率も珍しくありません。その中で10%を切っている会社は、教育制度やフォロー体制が整っている可能性が高いといえるでしょう。
私がこれまで見てきたホワイト寄りの会社では、若手の離職が少ない代わりに、研修期間が長く、OJTの質が高い傾向がありました。また、目標設定も「個人のペースに合わせて」行う文化が根付いており、数字を追うだけでなく“提案の質”を評価されていました。
一方で、求人票やホームページだけでは離職率を確認できない会社もあります。その場合は、口コミサイトや実際に働いている人の声を参考にするのが有効です。面接時に「社員の定着率」や「入社3年後の残存率」などを具体的に質問するのもひとつの方法です。
このように考えると、「離職率10%未満」をひとつの目安としつつ、それを支えている制度や風土の中身まで見ることで、自分に合ったホワイト企業に出会いやすくなるでしょう。
実体験から学んだ“乗り越える工夫”
住宅営業として長く続けるには、「どう乗り越えるか」を自分なりに見つけることが不可欠です。ここでは、私自身が経験から学んだ具体的な工夫を紹介します。
まず効果があったのは、「小さな成功体験を見逃さない」ことでした。住宅営業は契約までの期間が長いため、成果が出るまでに時間がかかります。その間、自分の成長を感じづらく、モチベーションが下がりやすいのです。だからこそ、来場者との会話がうまくいった、見積書がスムーズに作成できたなど、日々の業務の中に小さな達成感を見つけるように意識しました。
もう一つ大きかったのは、「他人と比べすぎない」ことです。新人時代、同じ展示場で同期が契約を取っているのを見ては落ち込み、自分を責めてばかりいました。しかし先輩に「焦るな、地道な信頼構築が一番の近道だ」と言われてから、商談の準備やお客様との関係構築に集中するようにしたのです。
さらに、「相談できる先輩を持つ」ことも重要でした。全てを自分で抱え込むのではなく、わからないことを素直に聞くことで、時間のロスを減らせるだけでなく、メンタル面でも安定します。
このように、自分なりの工夫や支えを持つことで、住宅営業の「きつい時期」を乗り越えやすくなります。スキルや知識の前に、働き方の工夫と心の持ちようこそが、継続の鍵だと実感しています。
現場で身につくスキルと成長実感
住宅営業はきつい仕事だと言われがちですが、その分得られるスキルや経験の幅は非常に広いという特徴があります。特に「営業力」だけにとどまらず、提案・交渉・段取り・設計知識など、総合的なビジネススキルが身につくのが魅力です。
例えば、住宅の提案にはお客様のライフスタイル、将来設計、資金計画など多角的な視点が求められます。そのため、相手の話を深く聞き取り、的確に要望を整理し、納得のいく形で提示する力が自然と鍛えられていきます。私は営業をしていた頃、「話す力」よりも「聞く力」の大切さに気づき、それを意識するようになってから成約率が上がりました。
また、設計担当や工事担当との社内調整を通して、「伝える力」や「調整力」も磨かれます。自分だけで完結しない業務が多いからこそ、周囲を巻き込みながら物事を進める経験は、どんな業界に進んでも役立ちます。
さらに、住宅営業は高額商品を扱うため、金融や法律、不動産などの専門知識にも触れる機会が多く、学びの幅も広がります。私はこの経験がきっかけで、2級建築士の勉強を始め、より深く顧客に寄り添える営業を目指すようになりました。
このように、住宅営業は厳しい反面、「成長の伸びしろ」が非常に大きい職種です。自分次第で、どんなスキルも吸収できる環境だと感じています。
新人でも育つ環境は本当にあるのか
住宅営業の現場では「即戦力」が求められるイメージがありますが、新人でも育つ環境は確かに存在します。ただし、その差は企業ごとに大きく、最初の職場選びが非常に重要です。
私自身、新卒で入社した会社では最初の数ヶ月、先輩に同行して展示場の案内や接客のサポートを行うOJT制度がありました。見て学ぶだけでなく、実際にロールプレイを繰り返したり、フィードバックをもらえたりすることで、徐々に自信を持って話せるようになった記憶があります。
一方で、教育体制が整っていない会社では「見て覚えろ」「気合いでやれ」という空気が残っているケースもあり、新人にとっては精神的に厳しい環境です。実際、私の同期の中には放置状態が続き、入社3ヶ月で辞めてしまった人もいました。
重要なのは、「育てようとする意思」が現場や上司にあるかどうかです。制度があるだけでなく、忙しい中でも時間を割いてくれる先輩がいるかどうか、日々の会話でフォローしてくれる人がいるかどうか。それだけでも、新人の定着率と成長スピードは大きく変わってきます。
このため、説明会や面接時に「新人の育成方法」「OJTの具体的な中身」「1年目の過ごし方」などを確認しておくことが、ミスマッチを防ぐポイントになります。
つまり、新人が育つ環境は確かにありますが、“どの会社でも育つわけではない”というのが現実です。だからこそ、自分が安心して成長できる土台があるかを、慎重に見極めることが大切です。
辞める前に「変える」選択肢を
住宅営業の仕事に悩み、「もう辞めたい」と感じる瞬間は誰にでもあります。私自身も何度もその壁にぶつかりました。しかし、辞める前に「変える」ことで乗り越えられるケースも少なくありません。
まず、環境を変えるという方法があります。配属先の展示場や支店によって、上司や先輩の雰囲気、教育の姿勢、チームの空気感はまったく異なります。私も、一度異動しただけで「相談しやすい」「雑談できる」空気に変わり、営業へのストレスが大きく軽減された経験があります。
また、自分の営業スタイルを見直すことも有効です。数字に追われて空回りしていた時期には、「売ること」に必死になっていましたが、視点を「お客様の暮らしを一緒に考える」に切り替えてから、自然と提案にも手応えが出てきました。これは先輩からの一言、「焦るとお客様に伝わるよ」に背中を押されたのがきっかけでした。
さらに、部署や職種を変える選択もあります。設計、事務、総務など、住宅業界の中にもさまざまな役割があり、営業経験を活かせる場も多くあります。私の知人は営業から設計アシスタントに移り、顧客対応の経験を強みに新たなキャリアを築いています。
このように、「辞める」以外にも「変える」ことで活路を見いだせる可能性は十分にあります。自分の努力ではどうにもならないことがある一方で、見方を変えれば進み方も変わる。それに気づけるかどうかで、その後の選択肢も大きく広がるのです。
だからこそ、すぐに結論を出す前に、一度「何が変えられるか?」を冷静に見直してみてください。それが、今後のキャリアを後悔しないための第一歩になるはずです。
住宅営業をやめとけ!と言われる背景と向き合うための総括
- 精神的・肉体的負荷が大きく離職率が高い業界である
- ノルマのプレッシャーが強く達成できないと評価が下がる
- インセンティブ制度により収入が不安定になりやすい
- 土日出勤が基本で生活リズムの調整が難しい
- 契約までのプロセスが長く結果が出るまでに時間がかかる
- 成績がすべてという実力主義の社風が根強い
- クレームやトラブル対応で精神的に疲弊しやすい
- 教育制度の質が会社によって大きく異なる
- 育成意識が低い職場では新人が孤立しやすい
- 女性営業も活躍できるが制度と配慮が不可欠
- コミュニケーション力よりも傾聴力が求められる場面が多い
- 自分なりの営業スタイルを見つける柔軟性が求められる
- 営業を通じて得られるスキルは他職種でも活かせる
- 異動や職種変更など社内でのキャリアパスも視野に入れられる
- 辞める前に「変える」という選択肢を考えることが重要である
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